Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうしゅうきこう

欧洲紀行

横光 利一

Lesen Sie 欧洲紀行 (おうしゅうきこう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.107 Zeichen · 241 Bildschirme

Aozora Bunko

五月五日

五月六日

五月五日

ペンクラブの招待日だが、招待の最中に、出席者の一員が南條氏に、これを英国のペンクラブだと思ってくれては困ると打ちあけたそうだ。会の計画者がひどく不自然なことをしているのだ。

五月六日

市中を一人歩いて見る。タクシイはいくら手を上げても停らず、バスに乗ると反対の方角に乗って降ろされたので、またてくてく歩いて宿へ帰る。宿の庭には梨と林檎の花が満開だ。私はここの庭ほど好きな庭はまだ見たことがない。トキワの別館であるが開業してから一二ヶ月よりならぬとの事だ。屋敷は富豪の家だったらしく荒れてはいるが風趣がある。庭は館の四倍ほどの広さで一面の草の中に衰えた噴水と、耳に囁き合う古びた男女の石像が一つあるきりだ。アッシャー家の没落を眼のあたりに見るようだ。絶えず音なく散っている梨の花や木の下影に取り包まれた林檎の花の中で山鳩はときどき重い羽音を立てている。壊れかかった煉瓦の塀に薔薇蔓が這い上り、樹幹を廻って出て来た老人が赤子を抱いたまま林檎の花の下で眠っている。客は私と細菌学の博士とただ二人きりである。博士は私に昼から夜の一時まで細菌学の話をしてくれる。