Japanische Klassiker mit Furigana
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おうしゅうきこう
欧洲紀行
横光 利一
Lesen Sie 欧洲紀行 (おうしゅうきこう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.107 Zeichen · 241 Bildschirme
二月二十八日
傍で見ていて、こんなものかと私は思う。
二月二十八日
曇。朝八時香港着。港の景観は旅の幸福を事実となすに足る。このあたりも早や春雨だ。風に波立つリパルスベイ一面の黄色な花――香港島を自動車にて一周後、マスクをかけて街を散歩する。群衆は私のマスクに驚くことしきりである。子供らは追っかけて見に来る。立話をしているものも話をやめてぼんやりと口をあける。こうなるとその次の者はどんな顔をするものかと観て行くうち、逢うもの逢うもの同様な表情を一瞬私の面前でする。総て香港の支那人は上海のものより俊敏で活溌だ。
春雨や物乞ひどもと海を見る
自動車で島を一周中、車に故障生じ、一時間余り山中にて停止。動くまで降りて港を見降ろす。風強く樹木の裏葉がめくれ上る下に、折からの日光に輝いた波頭が美しい。とうとう車は駄目だと云う。途方にくれて辻売りの蜜柑を買い、立食いをしながら句を作る。そこを一台の自動車が疾走して去る。見ると高浜虚子氏とお嬢さんだ。呼ぼうにも早やすでに遅い。仕方なくまた句を作る。支那人が竿の先のカギを梢の枯枝にひっかけ、折り落している。焚火用だ。
枯枝の落つ間も動く舟の数