Japanische Klassiker mit Furigana
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おうしゅうきこう
欧洲紀行
横光 利一
Lesen Sie 欧洲紀行 (おうしゅうきこう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.107 Zeichen · 241 Bildschirme
七月三日
それがこの地の最上の名物だということは、理由のない事じゃない。何んでも平和の会議はここだという事、――時計と平和の関係を考えることは、一見愚なようだが、地上最も風光明媚な土地が、誰からも守護せられ、永久の平和を保ち得られるという特権を受け、それを誇りとする人々の感謝と奉仕が、最も確実正確な時計を世に贈るという仕事――これがただ事であろうか。もし、このような暗合が無意味な事なら象徴というものは、何事でもないのだ。誰が平和に関してせっせと頭を使うものか。
七月三日
夜十一時、パリー着。旅から帰る毎に深みのさらに増して来るのは、いつもながらパリーの不思議さだ。廻って来た五ヶ国の大小の都会が、例外なくパリーの真似を尽していたのは、あれは真似ではないのだと気がついた。ものは本格に近づけば近づくほど、軌道が一つになり、個性が無くなっていくのである。
デカルトに始った都市国家の智的設計は、ヨーロッパから個性を奪ったのだ。この幾何学の勝利は、人心の中に於てでも、暴威を逞しくして近代に及んだ。人心もコンパスの両足に挟まれては動けないのだ。
一度び罷業が起ると、道路が尽くの道路に連続しているように、労働の各部門を燃え進ませたパリー。