Japanische Klassiker mit Furigana
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おうしゅうきこう
欧洲紀行
横光 利一
Lesen Sie 欧洲紀行 (おうしゅうきこう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.107 Zeichen · 241 Bildschirme
七月十九日
車中、水上氏の死去の事を訊ねると、南部修太郎氏の死んだ事は知っているが、水上氏とはどんな人かと云う。話が一層混乱して死んだのは南部氏かと思う。この人なら私が来るとき、紹介状をくれた人だ。いったいどっちが死んだのか、二十分ほど迷っているうちに、突然、樋口君が真っ青になり、横腹を圧えたまま、マデレーヌの横のベンチへ倒れてしまった。だんだん死が傍へ近づいて来たような気がして、岡本君と二人でうろたえていると、このままに捨てておいてくれ、そうすると癒るのだと、樋口君が悲しげな声で云う。油汗がたらたら額から流れ出して、見るも苦しそうだ。すると、五六分もして、顔はまた常態に復し、さアもう行きましょうと云って樋口君から歩き出す。私は車に樋口君を乗せながら、これでは樋口君の云った水上氏の死の方が誤りだと思う。
夜、山田きく子氏の招待に出る。沢山な御馳走の後、汐汲その他のレコードを聞く。歌舞伎を見たくて禁じ難し。
七月十九日
日本へ帰る準備をする。荷物をまとめ、前に船で送るのだが、何となく楽しい。ぷすぷす槍襖の突き立っている中へ帰るのも、勇気は出るものだ。
七月廿日
私の「失望の巴里」