Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こはんていじけん

湖畔亭事件

江戸川 乱歩

Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme

Aozora Bunko

長吉が外ならぬ私の恋人であることを知ったのは、事件のたった一日前のことでした。それまでもあの女は度々湖畔亭へ来ていた筈ですが、どうした訳か一度も出あわなかったのです。それがあの日の前日、ふと廊下ですれ違って、お互に気がつくと、御免下さい、私はそっとあの女を自分の部屋に連れ込んで、まあ積る話をした訳なんです。詳しいことは時間がありませんから省きますが、その時あの女はいきなり泣き出して「死にたい死にたい」といい、遂には私に一しょに死ぬことを迫るのです。一体に内気な女で多少ヒステリーも手伝っていたのでしょうが、最初から芸者稼業がいやであった所へY町へ住みかえて以来、友達らしい友達はなく、朋輩にもいじめられる様なことが多かったらしいのです。そこへ抱主が因業で、最近持上った例の松村という物持の身受話が段々うるさくなり、うんというか、借金を倍にして外へ住み換でもするか、二つに一つののっぴきならぬ場合にさし迫っているのでした。死にたいというのも、あの女の気質にしては、まあ尤もなのです。そんな事情も事情ですが、何よりも私を夢中にしたのはあの女が未だに私を思い続けていてくれる誠意でした。