Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
ところが最近河野から珍しく長文の手紙を受け取りました。彼は長々と私の往年の好意を謝した上、愛人長吉の死を告げ、彼自身も友人の事業に関係して南洋のある島へ旅立つことを知らせて来たのです。その文面によれば、彼は恐らく再び日本の土を踏むことはありますまい。もはや事件の真相を発表しても差支えない時が来たのです。
読者諸君。以上で私の退窟なお話は終りをつげました。例の莫大な紙幣が本物であったかどうかは、つい聞く機会がありませんでしたが、恐らく贋造紙幣ではなかったかと思います。
ただ一つ、ここにある重大な疑問が残されています。私は河野に別れて以来、日をふるにつれて色濃くなって来るその疑問に、形容の出来ない悩ましさを感じ初めました。もし私の想像が当たっているとすれば、私はにくむべき殺人者を、ゆえなく見逃がしたことになるのです。でも、今はまだその疑いをあからさまにいうべき時機ではありません。河野は生きているのです。しかも、彼はお国のために海外に出稼ぎをしているのです。数年前に死んでしまったおろか者の三造の故に、何を好んで、今更犠牲者を出す必要がありましょう。