Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こはんていじけん

湖畔亭事件

江戸川 乱歩

Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、その後からもう一人、彼の従者とも見える、少し風采の劣った男が、これもやっぱり洋服姿で、手には同じ様なトランクをさげてついて行きました。

私が世にも内気者であることは、これまでも屡々申述べた通りです。従って、宿屋にいても、滅多に部屋の外へ出ることはなく、同宿者達のことも、まるで無智でありました。例の華美な都会の少女と、もう一人の青年(彼がどんなに驚嘆すべき男であるかは、お話が進むに従って読者に明かになるでしょう)の外には、私は殆ど無関心だったのです。無論覗き眼鏡を通して、すべての泊り客を、見てはいたはずですけれど、どの人がどの部屋にいてどんな顔つき、風体をしているのやら、とんと記憶してはいませんでした。で、今出あい頭に私を驚かせた紳士とても、一度は見た様にも思うのですけれど別段深い印象もなく、従って彼の変てこな挙動にも、大して興味を感じなかったのです。

その時の私には、時ならぬ出立客など怪しんでいる余裕はなく、ただもうワクワクとして、その廊下をどちらへ行っていいのかさえ、分らない始末でした。が、いくら勇気をふるい起して見ても、あの出来事を宿の人に告げる気にはなれません。