Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
十三
そんな掃除のしようがあるか。どうしてそう骨惜しみをするのだ。……まあそれはいいが、お前は昨夜、ここで何か変な物音でも聞かなかったかね。ずっとその焚き場にいたんだろう。叫び声でもすれば聞えたはずだ」
「ヘエ、別にこれといって……」
「聞かないというのか」
「ヘエ」
といった調子なのです。私共には眼尻に皺をよせて、猫撫声でものをいう主人が、召使いに対すると、こうも横柄になるものかと、私は少からず悪感を催しました。それにしても、三造というのは何という煮え切らない男でありましょう。
十三
それから、「血痕だ」「いや血痕でない」と、主人はあくまで稼業の触りを恐れて事を荒立てまいとするし、河野も自説を取って下らず、はしなくも、変てこな論争が初まったものです。
「あなたも妙な方ですね。こんな何がこぼれたのだか分りもしないものを見て、まるで人殺しがあったと極めてしまう様なもののいい方をなさるじゃありませんか。あなたは私の内へけちがつけたいのですか」
主人はもう喧嘩腰なのです。こうなって来ますと、私は、もしや河野が覗き眼鏡の一件を持出しはしないかと、もう気が気ではありません。