Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こはんていじけん

湖畔亭事件

江戸川 乱歩

Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme

Aozora Bunko

といって彼は私のレンズ装置取外しの作業を助けてくれたほどでありました。

それは非常に危険な仕事でした。真夜中の事ですし、附近に人のいる部屋とてもありませんので、その点は安心ですけれど、先程の手首の男が、庭の暗闇に潜伏していて、危害を加えないとも限らず、又その筋の刑事などが、張込んでいまいものでもありません。私達は猿の様に木の枝を伝いながら、絶えず庭の方を注意して、ビクビクもので仕事を続けました。

ボール紙の筒が、所々簡単に取りつけてあるに過ぎないのですから、取り外すのに面倒はありません。やがて私達はスッカリ仕事を終って、部屋の方へ引返そうと、屋根伝いに這っている時でした。

「誰だッ」

私のうしろで、突然、低いけれど力の籠った叫声がしました。河野が何かを見つけて怒鳴ったのです。

見ると、庭の向うの隅の所に湖水の薄明りを背景にして、一つの黒影が蹲まっていました。

「誰です」

河野がもう一度怒鳴りました。

すると影の男は、物をもいわず立上り、つと建物の蔭にかくれると、一散ににげ出した様に思われます。別段厳重な塀などがある訳ではなく、湖水の岸を伝って行けば、どこまでも逃げることが出来るのです。