Japanische Klassiker mit Furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lesen Sie 湖畔亭事件 (こはんていじけん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.335 Zeichen · 137 Bildschirme
そして、ふと電燈を持ち換る時などには、あたりの木の枝が、不気味な生きものの様に、ゆらめき、時としては、私自身が燈光の直射にあって、思わず樹幹に身を隠すこともありました。
しかし、何をいうにも、豆の様な懐中電燈の光で、しかも彼自身それをふりかざしているのですから、その姿を見極めることは、非常に困難でありました。私は絶対安全の地位を選んで、丁度敵に近づいた兵士達が、地物から地物へと、身を隠して行く様に、木の幹を縫って、少しずつ少しずつ進みました。
この夜ふけに、森の中で探し物というのも変ですし、それが一向この辺で見かけた事のない都会風な男であるのも合点が行きません。私は当然、先夜のあやしい男、河野が追跡して見失った男を思い浮べました。あれとこれとが同一人物ではないかと考えたのです。
しかし、どうしてもその顔形を見極めることが出来ません。殆ど一間ばかりの所まで近づいていながら、暗の中のことですから、もどかしくも、それが叶わないのです。その晩は、ひどい風で、森全体がざわめいていましたので、少し位物音を立てても聞える気づかいはなく、そのためか相手は少しも私を悟らず、探し物に夢中になっています。