Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
そのなかに、伊那丸のすがたを見出したので、忍剣は、思いやりの深い主君の心がわかって、無言のうちに涙がうかんだ。
かれの健在を祝福しあうと、人々はすぐに、
「忍剣、すぐに京都へいそぐのだぞ」
と、活気づけるようにいった。
「えッ、都へ」
「くわしいことは、あとで若君からお話があろうが、きょうからわれわれは、甲州土着の武士という心を捨てることになったのだ」
「なぜ?」
明らかに不平が、かれの顔色にうごいた。
が、一党の友の顔は、みな、いつもにも増して晴れやかに見えた。
「甲州武士などというせまい気持をすてて、まことの神州武士となるのだからいいじゃないか。われらの愛国は甲斐ではなくなった。日本だ。かがやきのある神州扶桑の国だ」
「そして?」
忍剣には、友のことばが不意にきこえた。まだじゅうぶんに胸に落ちないらしい。
「あおぐは一天の帝」
「それは、だれにしてもそうではないか。いまさらこと改めていうことはないだろう」
「いや、戦国の武将たちは、みんなそれを忘れている。もうひとつ忘れていることがある。それは貧しい下々の民だ。われらの味方するのはその人たちだ」
「どうしてにわかに京都へのぼることになったのか」