Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
「オオ、なんとしたことであろう」
あまりの口惜しさに、咲耶子はさらに再三再四、胡蝶の陣を立てなおして、応戦をこころみたが、こなたで焔の陣をしけば、かれは水の陣を流して防ぎ、その軍配は孫呉の化身か、楠の再来かと、あやしまれるほど、機略縦横の妙をきわめ、手足のごとく、奇兵に奇兵を次いでくる。
さすがの胡蝶陣に妙をえた咲耶子も、いまはほどこすに術もなくなった。精鋭無比の彼女の部下の刃も、いまはしだいしだいに疲れてくるばかり。
「それッ、この機をはずすな!」
「いずこまでも追って追って追いまくれッ」
「裾野の野武士を根絶やしにしてくれようぞ」
穴山の四天王猪子伴作、足助主水正、その他の郎党は、民部が神のごとき采配ぶりにたちまち頽勢を盛りかえし、猛然と血槍をふるって追撃してきた。
西へ逃げれば西に敵、南に逃げれば南に敵、まったく民部の作戦に翻弄されつくした野武士たちは、いよいよ地にもぐるか、空にかけるのほか、逃げる路はなくなってしまった。
と、咲耶子のいる丘の上から、悲調をおびた笛の音が一声高く聞えたかと思うと、いままでワラワラ逃げまどっていた野武士たちの影は、忽然として、草むらのうちにかくれてしまった。