Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

竹童はあわてて、いくどもいくども、方向をかえようとしたが、さらにききめがなく、地上へもどらんとしても、いつものようにスラスラと降りてもくれない。ああいったいこれはどうしたことだ。

「チェーッ、畜生、畜生、畜生」

かれはクロの上でかんしゃくをおこし、じれだし、最後にベソをかきだした。

そもそも今日は竹童にとっていかなる悪日か、ベソをかくことばかり突発する日だ。しかし、そう気がついてももうおそい、いくら泣いてもわめいても、鷲に一身をたくして雲井の高きにある以上、クロの翼がつかれて、しぜんに大地へ降りるのをまつよりほかはない。それはまだよかったが、泣き面に蜂、つづいておそるべき第二の大難が起ってきた。

すでに今朝から陰険な相をあらわしていた空は、この時になって、いっそうわるい気流となり、雷鳴とともに密雲の層はだんだんとあつくなって、呼吸づまるような水粒の疾風が、たえず、さっさっとぶっつかってきた。

そして、鷲が雲より低くいくときは、滝のごとき雨が竹童の頭からザッザとあたり、上層の雲にはいるときは白濛々の夢幻界にまよい、髪の毛も爪の先も、氷となって折れるような冷寒をかんじる。