Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

「やッ、なんだ――」

と蚕婆と燕作が、飛びあがっておどろくうちに、才蔵は、すばやく間道のなかへ姿をかくして、下からあおむいて笑っている。

「おどろくことはない、天井うらに忍んでいたやつは、徳川家の菊池半助だ、これで隠密落としの禁厭がすんだから、もう安心。燕作、はやくこい!」

「じゃあ婆さん、あとはたのむよ」

と燕作もつづいてなかへ姿をけした。その足音が地の下へとおざかるのを聞きながら、蚕婆はすぐもとのとおり床板や蓆を敷きつめ、壁にかかっている獣捕りの投げ縄をつかむが早いか、いきなりおもてへ飛びだした。

「いやがった!」

かがりのような目を磨ぎすまして、あなたこなたを見まわした蚕婆は、ふと、七、八間さきの闇のなかで、なにやらうごめいている人影を見つけて、じっとねらった。

と――それはまぎれもなく、天井裏で膝を突かれた曲者が、小川の水で傷手を洗っているのだ。頭から足のさきまで、烏のように黒装束をした隠密の男、すなわち徳川家からまわされた菊池半助。

「おうッ!」

ふいに吠えるような蚕婆の声とともに、さすがは半助、足の痛手を忘れて、ポーンと小川を跳びこえたが、よりはやく、闇のなかを飛んできた投げ縄の輪が無残、五体にからんでザブーンと、水のなかへ捕りおとされてしまった。