Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
朱の椅子によって、しずかな藤波へ、目をふさいでいた快川和尚は、ふと、風のたえまに流れてくる、法螺の遠音や陣鉦のひびきに、ふっさりした銀の眉毛をかすかにあげた。
その時、長廊下をどたどたと、かけまろんできたひとりの弟子は、まっさおな面をぺたりと、そこへ伏せて、
「おッ。お師さま! た、大変なことになりました。あアおそろしい、……一大事でござります」
と舌をわななかせて告げた。
「しずかにおしなさい」
と、快川は、たしなめた。
「――わかっています。織田どのの軍勢が、いよいよ此寺へ押しよせてきたのであろう」
「そ、そうです! いそいで鐘楼へかけのぼって見ましたら、森も野も畠も、軍兵の旗指物でうまっていました。あア、もうあのとおり、軍馬の蹄まで聞えてまいります……」
いいもおわらぬうちだった。
うら山の断崖から藤だなの根もとへ、どどどどと、土けむりをあげて落ちてきた者がある。ふたりはハッとして顔をむけると、ふんぷんとゆれ散った藤の花をあびて鎧櫃をせおった血まみれな武士が、気息もえんえんとして、庭さきに倒れているのだ。
「や、巨摩左文次どのじゃ。これ、はやく背のものをおろして、水をあげい、水を」