Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

「味方は小勢なれども、正義の戦い。弓矢八幡のご加勢があるぞ。われと思わんものは、人穴城の一番乗りをせよや」

同時に、きッと、馬首を陣頭にたてた伊那丸は、かれのことばをすぐうけついで、

「やよ、面々、戦いの勝ちは電光石火じゃ、いまこそ、この武田伊那丸に、そちたちの命をくれよ」

凛々たる勇姿、あたりをはらった。さしも、烏合の野武士たちも、このけなげさに、一滴の涙を、具足にぬらさぬものはない。

「おう、この君のためならば、命をすててもおしくはない」

と、骨鳴り、肉おどらせて、勇気は、日ごろに十倍する。

たちまち、進軍の合図。

さッと、民部の手から二行にきれた采配の鳴りとともに、陣は五段にわかれ、雁行の形となって、闇の裾野から、人穴城のまんまえへ、わき目もふらず攻めかけた。

「わーッ。わーッ……」

にわかにあがる鬨の声。

「かかれかかれ、命をすてい」

いまぞ花の散りどころと、伊那丸は、あぶみを踏んばり、鞍つぼをたたいて叫びながら、じぶんも、まっさきに陣刀をぬいて、城門まぢかく、奔馬を飛ばしてゆく。

と見て、帷幕の旗本は、

「それ、若君に一番乗りをとられるな」

「おん大将に死におくれたと聞えては、弓矢の恥辱、天下の笑われもの」