Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

月の裾野

一

にらまれても落ちついたもの、スパリスパリと、二、三ぷくすって、ポンと、立木の横で、きせるをはたくと、あいさつもせずに、またすたすたとでかけるようすだ。

「まて、六部まて」

あわてて立ちあがったが、もうかれの姿は、あたりにも先にも見えない。忍剣はあきれた。世のなかには、奇怪なやつがいればいるものと、ぼうぜんとしてしまった。

疑心暗鬼とでもいおうか、場合がばあいなので、忍剣には、どうも今の六部の挙動があやしく思えてならない。なんとなく伊那丸の身を闇につつんだのも、きゃつの仕事ではないかと思うと、いま目のさきにいたのを逃がしたのがざんねんになってきた。

「あやしい六部だ。よし、どんな早足をもっていようがこの忍剣のこんきで、ひッとらえずにはおかぬぞ」

とかれはまたも、いっさんにかけだした。

月の裾野

一

並木がとぎれたところからは、一望千里の裾野が見わたされる。

忍剣は、この方角とにらんだ道を、一念こめて、さがしていくと、やがて、ゆくてにあたって、一宇の六角堂が目についた。

「おお、あれはいつの年か、このへんで戦いのあったとき焼けのこった文殊閣にちがいない。もしかすると、六部の巣も、あれかもしれぬぞ……」