Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
三
の庵はがらん洞で、ただ壁に、一枚の紙片が貼ってあり、まさしく居士の筆で、いわく、
竹童よ。誇るなよ。なまけるなよ。ゆだんするなよ。お前の使命はまだ残っているはず。
ふたたび、われとあう日まで、心の紐をゆるめるなかれ。
果心居士
「おや、こんなものを書きのこして、お師匠さまはいったい、どこへ隠れてしまったんだろう」
竹童は、がっかりしたり、不審におもったりして、しばらく庵にぼんやりしていた。
「おまえの使命はまだ残っている――おかしいなあ、お師匠さまの計略は、いいつけられたとおりまんまとしたのに……ああそうか、徳川軍にかこまれた伊那丸さまが、勝ったか負けたか、生きたか死んだか、その先途も見とどけないのがいけないというのかしら、そういえば、可児才蔵という人からたのまれている伝言もあったっけ」
と、にわかに気がついた竹童は、数日来、不眠不休の活動に、ともすると眠くなる目をこすりながら、ふたたび、クロに乗って富士の裾野へ舞いもどった。
やがて、白砂青松の東海道の空にかかったとき、竹童がふと見おろすと、たしかに徳川勢の亀井、内藤、高力なんどの武者らしい軍兵三千あまり、旗幟堂々、一鼓六足の陣足ふんで浜松城へ凱旋してきたようす。