Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

「これ、用意の駕籠を」

闇にあたって、丹羽昌仙の声がひびいた。

「おうッ」

というと覆面のむれ、ガチャガチャと一挺の鎖駕籠を舁きこんできて、七重八重にしばりあげた貴人の僧をそのなかに押しこみ、それッとかつぎあげるや否、まッ黒にもんで、天ヶ丘の南蛮寺へいそぎだした。

「ええ、しまった!」

「わが君ッ――」

悲痛な声が、血煙のなかに残った。満身の太刀傷にさいなまれたふたりの従僧、斬ッつ、追いつ、小半町ほど鎖駕籠を追いかけたが、刀おれ力もつきて、とうとう馬場のはずれの若草の上で、たがいに喉と喉とを刺しちがえたまま、無念の鬼となってしまった。

三

東山に、金色の雲がゆるぎだした。

京の大宮人が歌よむ春のあけぼのは、加茂の水、清水の花あかりから、ほのぼのと明けようとしている。

だれもいない南蛮寺、緑青のふいた銅瓦の上へ、あけぼのの空から、サッ――と舞いおりてきた怪物がある。みると、ひさしく裾野からその影をたっていた、竹童の愛鷲、――いやいや、いまでは泣き虫の蛾次郎が、わがもの顔に乗りまわしている大鷲だ。

「やあ、いよいよここが都だな、ゆうべは伊吹山でさびしい思いをしたが、きょうはひとつ、クロにも楽をさせて、京都の町でブラブラ遊んでやろう」