Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
二
「くそうッ」と蛾次郎、鷲の上から竹をふるって、竹童の肩をピシーッとなぐった。
「ちイッ……」と、こらえながら、竹童は、必死につかんだ蛾次郎の足をはなさず、大鷲のつばさが、さッと大地を打ってまいあがるのと一しょに、かれも蛾次郎とともに、無二無三に、鷲の背なかへかじりついてしまった……
二
かくて巨大な黒鷲の背には、いまやたがいに、敵たり仇たるふたりの童子が、ところもあろうに、飛行する大空において、ひとつ翼の上に乗りあってしまった。
だが、しかし――鷲そのものは、蛾次郎を敵ともおもわず、また竹童を仇とも思うようすもない。軽々と、二少年を背にのせて、そのゆうゆうたるすがたを、南蛮寺の空にまいあがらせた。
おお、みるまに下界は遠くなる――遠くなる――
南蛮寺の屋根、天ヶ丘一帯、さらに四方の山川まで、たちまち箱庭を見るように、すぐ目の下へ展開されて、それが、ゆるい渦巻のように巻いてながれる……
蹴おとされては大へんと、泣き虫の蛾次郎は、歯を食いしばって、鷲の頸毛にしがみついた。
と――同じように、地上とちがって、大空の風をきってゆく鷲の背なかにいては、さすがの竹童も、手がはなせないので、みすみすそばに乗りあっている蛾次郎をどうすることもできないのである。