Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
生あたらしいその高札の片面に、なにか墨色もまざまざと書いてあったが、その文字のうちに、ふと、武田と読めた一行があったので、竹童はハッと胸をさわがしたが、
「あ、もし」
と、呼びとめておいて、つとめて冷静をよそおいながら、
「浜松のご城下へゆくには、これをまっすぐにゆけばいいんですか……」
と道にまよっているふりをして、そのあいだに、足軽が肩にかけている高札の文字を読もうとしたが、意地わるく、文字面の裏を向けていて、よく読むことができなかった。
「うむ、ご城下へは一本道だが、まだだいぶ道のりがあるぜ」
「じゃ、日が暮れてしまいましょうね」
「いそいでゆきねえ。ぶっそうだから」
曠野にさまよう子供と見て、その足軽は、さきへ青竹をつんでいった車やつれの人数からひとりおくれて、こまごまと、十字路の方角や里数をおしえてくれている。
「どうもありがとうございました」
竹童はその道しるべより、肩にかついでいる高札のことを、なんとかして聞きほじりたいがと苦慮したが、いきなりたずねだすのもさきの疑いを買うであろうと、わざと空とぼけて、
「それでよく道はわかりました。ですけれど、おじさん、この広い原ッぱは、いったいなんという所なんでしょうね」