Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

へんなもんだなあ、人の斬られるッていうものは」

矢来にたかっている数多の中で、こういった、ひとりの見物人がある。

「親方! 親方はなんともないような顔をしていますね」

つれの男は太い口をむすんで、黙然と、刑場のなかを見つめていた。革胴服にもんぺを穿き、脇差をさした工匠風、だれかと思うと、秀吉の追捕をのがれて、竹生島から落ちてきた上部八風斎、いまではもとにかえって鏃鍛冶の鼻かけ卜斎。

しゃべっているのは蛾次郎だった。

「だけれど、考えてみると、伊那丸もかわいそうだな。ちょっと、旗上げのまねをしたばかりで、もう首を斬られちまった。忍剣も龍太郎もとうとう冥土のお相伴。アアいやだいやだ死ぬなんて。ねえ親方、こういうところを見ると、やっぱり富士の裾野あたりで、テンカンテンカンと鏃をたたいているのが一ばん安泰ですね」

卜斎はそばのおしゃべりへ、耳もかさずに腕組みをしていた。

だが蛾次郎は、卜斎が返辞をするとしないとにかかわらず、ひとり所感をのべている。

「これで、木から落ちた猿みたいに、ベソをかくのは竹童だろう。この見物のなかにあいつがいたら、いまの景色をどんな顔して見ているだろうな……オヤ、もうおしまいかしら、役人がみんな幕のかげへはいってしまった――つまらねえな。