Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
あたかも磁力にすいつけられてしまったよう。そも、泣き虫の蛾次郎および親方の卜斎までが、なにを見てそんなにぼうぜんとしているのかと思えば――それも道理、ふしぎ! イヤふしぎなどという生やさしい形容をこえた、あるべからざる事実が、そこに、顕然とあったのである。
見れば北側の矢来そと、人かげまばらなあとにのこって、なにかヒソヒソとささやき合ってる旅人がある。よくよく凝視するとおどろいたことには、それが、たったいま、刑場のなかで首をおとされたはずの忍剣、龍太郎、伊那丸の主従三人。
あやしいといってもこれほど怪異なことはない。菊池半助が、大衆環視のなかでたしかに斬った三人――しかもその血汐は、なおまざまざと刑場の草をそめており、その首は都田川の獄門台にのせられているのに!
その人間がここにいる。
話している。
笑っている。
ときどき、じぶんの首がのせられた獄門台のほうを見ている。
そして微笑する。
くすぐったいように――不審なように――ささやき、うなずき合っている。
五
卜斎が眼をはなさなかったのもあたりまえ。
蛾次郎が鼻から息を吸ったままぼうとあッけにとられてしまったのももっともだ。