Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
民部のようすもさすがに平色ではなかった。それを見ても、なお気をくじくなとははげましきれなかった。かれは、道々すれちがった町人に、都田川のもようをたずねたがそれは、みな伊那丸以下のものが、菊池半助の斬刀に命をたたれて、その首級も河原の獄門にさらしものとなった、という答えに一致していた。
絶望! 三人は馬から落ちるように草原へおりて、よろよろと腰をついてしまった。
民部はものをいわなかった。小文治も黙然とふかい息をつくのみだった。蔦之助もまた暗然と言葉をわすれて、無情な星のまたたきに涙ぐむばかり……
「ぜひがない! おれは一足さきにごめんこうむる!」
小文治はいきなり脇差をぬいて自分の腹へつき立てようとした。と一しょに蔦之助も、
「おお、この期になってなんの生き甲斐があろう。小文治、拙者もともに若君のお供をするぞッ」
と、同じく自害の刃を取りかける。
「これッ――」と、民部は叱りつけるような語気で、左右にふたりの腕くびをつかみながら、
「なにをするのかッ!」
「おたずねはむしろ意外にぞんじます」
「死のうという考えならしばらくお待ちなさい」
「すでに伊那丸君がごさいごとわかった以上は、いさぎよくお供をして、臣下の本分をまっとういたしとうござります」