Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
「短気なことをしちゃいけないぜ」
「アア、加勢のくるのを待っています」
「おうッ、それじゃいそいでいってくる!」
竹童はヒラリと身をかえして、また以前のお花畑から陣馬ヶ原を馳けぬけて、愛鷲クロを飼っておく深林のくぼへ走りこんだ。
四
「クロ……」
林のくぼは星の光もなく真っ暗だ。
「クロ! クロ!」
かれは口笛をふいて返事を待った。
鷲が返事をするわけもないが、いつも、かれがこの林間へ足を入れれば、木の葉をふむ音だけで、自分のきたことを知って、よろこばしげに、爽快な羽ばたきをするのがれいだ。
だのに? どうしたのだろう。
羽ばたきもなければ、ギャーッという啼声もしない。
「寝ているのかしら?」
鷲もいまごろは眠るであろうと竹童はかんがえた。
だがだんだんにおぼえのある喬木の根ッこにさぐりよって見ると、かれの想像はまったくくつがえされて、そこには、最前このへんにあつまった城内の裏切り者、黒川八十松とほかふたりの者が、肉を裂かれてぶッたおれ、しかも一つの死骸には首がない。そうしてかんじんな鷲のすがたは影もかたちも見当らない。
「やッ、逃げたのかしら? 鎖だけが残っている」