Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
「いかがいたした、ほかの者は?」
上がりきらぬうちから熊蔵がこう急くと、雁六は額のきずで、片目に流れこむ血をおさえながら、
「た、大へんです」
うなるがごとき声だった。
「谷へ降りた者は、ひとりのこらずみな殺しにされてしまった! 熊蔵さま、わ、わっしだけ、ようよう逃げてきたんです」
「な、なんだッて」
熊蔵は、踏ンがけている足もとが、地すべりしていったかとばかり驚きにうたれて――。
「ど、どういう仔細で? まさか、竹童が」
「その竹童のからだをさがしに、だんだんうすぐらい檜谷へ降りてゆくと、ピューッと、鵯でも啼いたような、笛の音がしたんです」
「ウム、そして?」
「と一しょに、頭の上から疾風のような手裏剣が飛んできて、バタバタと四、五人ふいに打ッたおれたので、あッといったがもうおそい。……檜の上や笹むらのなかから、ひらひら、ひらひら、まるで蝶々のようなやつ、三、四十人の女です」
「女?」
「霧のように消える、またワッと蛾のように舞い立つ、それでふしぎな陣になっていて、こっちは煙にまかれたようです。逃げる、ふせぐ、斬り合う、火縄をつける、まごまごしているすきだってありゃしません。