Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

いかにもそうにちがいなかった。かれはさいぜんから群集のうちにまじって、自分を見ているふたりの人物が気になってたまらないのである。

「よし、こんどは!」

と腹からかまえどりをきめて蛾次郎太夫、邪念をはらって独楽を持ちなおし、恬然として四どめの口上を反り身でのべたてた。

「エエ、エヘン」

見物はまたかと、クスクス笑った。

「さて、最初の独楽しらべ、小手しらべとしまして、空まわし三たび首尾よく相すみましたから、いよいよこれから本まわしの初芸に取りかかります」

「うまく逃げ口上をいってやがる」

「また四どめも小手しらべはごめんだぜ」

「早くやれ、文句をいわずに」

第一印象がわるかったので、太夫の人気はさんざんである。けれど蛾次郎は、ここでひとつ喝采をはくして見物から銭を投げてもらわなければ、ここまでの努力も水の泡だし、かえりに空腹をかかえてもどらなければならないと思うと、しぜんと勇気づいて、四面楚歌の弥次ごえも馬の耳に念仏。

「あいや、お立合のみなの衆!」

と、いちだん声をはりあげて、

「芸は気合いもの、独楽は生き物。いくら廻し手が名人でも、そうお葬式の饅頭に鴉がよってきたように、ガアガアさわがれていてはやりきれない。