Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

「にくむべき長安!」

小文治は人ごとに思われなかった。

「泣くな泣くな」背をなぜながらなぐさめて、

「泣いたところで、死んだ良人も娘も返りはしない。それよりは、おまえが伊勢まいりの時に、道中でかどわかされたという、すえの男の子をたずねだして、その子をたよりに暮らすがよい」

「はい……だ、だが、旦那さま、そんなことは、とても望まれねえことなんでございます」

「いや、世間には十年ぶり、二十年ぶりなどで、母子がめぐり会ったなどということもめずらしくはない。一心にさがせばきっとわかるだろう。それに、何かその子に目印でもあれば、なお手がかりとなって、人からも教えてくれぬかぎりもない」

「ところが、百姓の悲しさで、べつに、証拠や印になるようなものもありませず、ただ、……そうでがす……思いだしてみると、その子は、小ッけえ時から癇持ちでがしたもンで、背骨の七ツ目の節にはお諏訪さまの禁厭灸がすえてごぜえます。はあ、そりゃ大けえ、一ツ灸で他国にはねえ灸ですから、目印といえば、そんなもンぐらいでございます」

「そうか、諏訪神社の禁厭灸よくおぼえておいて、拙者たちも旅の間には心がけておくようにいたそう」