Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
まるで竹童の手から狐火がふりだされるようだったが、いつもの頓智に似ず、蛾次郎がふところにある水性のふせぎ独楽に気がつかず、ただ、神魔の火焔に錆刀を振っていたずらに疲れたのは愚のきわみだ。
「ええ! オオッ」
と目ばたきする間もなく、噛みついてくる独楽の閃影に、蛾次郎はヘトヘトになって逃げまわる。――そのするどい金輪の火が一つコツンと頭にふれたらさいご、肉も骨も持ってゆかれるのはうけあいである。
でも、まだ、じぶんのふせぎ独楽には気がつかずに、ただ、
「こいつはたまらない」
と無我夢中。
いきなりあたりにある馬糧をかぶった。
土龍のように首を突っこみ、積んであるワラ山へ無我夢中でもぐりこむ。
とたんに――ゴツンとなにか尻に当ったような気がしたが、痛くなかったのは首尾よくワラで防いだものだろう――とは蛾次郎が夢中の感覚、ワラ山に大地震を起して、むこう側の戸口へ抜けだそうとしたが、すわ、大へん。
「――南無三!」竹童も色をうしなった。
ワラが赤くなった! ワラが赤くなった! 積みあげてある馬糧のいちめんから、雨上がりの火山か、芋屋の竈のように、むっくり……と白いけむりがゆらぎはじめた。