Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme

Aozora Bunko

四

アア、ついに大事をひきおこした――。

ふたりの面には、うれいがみちていた。

もし、こういうことでもあってはと、一党の者が矢来のうちへ足を踏みいれることをかたくいましめていたのに――といまさらの悔いも追いつかない。

「民部、民部」

ものにさわがない伊那丸が、とつぜん、矢来をやぶって、かけだしながら、

「はやくこい、捨ててはおけまいぞ」

と、龍太郎たちのとうわくしているそばへきた。

「オオ、若君」

「忍剣の身の一大事じゃ」

「われわれのふつつか、おわびの申しあげようもございませぬ」

「そんなことは、いまさら、申すにはおよばない。なにせい、忍剣の身を」

「は、はい。……しかし、若さままでが、ここに姿をおだしになっては、どんな禍いがふりかかるかも知れませぬから、どうか、民部どのは若君のお供をして、ここを、お立退きくださいまし、あとの儀は、われわれたちで、どうなりと処置してまいります」

一同が、おそるおそるいうことばへ、伊那丸は、強くかぶりをふって、

「かれの安危がわからぬうちに、自分ばかり退くことはできない。オオ!」

伊那丸が、オオといった声につれて、かなたに、ワーッという鬨の声がどよめいた。