Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
追いつめられた手長猿のように、蛾次郎のほうは、だんだん危険な枝へはいうつって、いくら竹童でも、もうここまではこられまいと安心していたが、ふいに、竹童の体重がおなじ枝へのしかかったとたんに――生木の股に虫蝕折れでもしかけていたのだろうか、ボキッと、あまりにもろい音がした。
かなり大きな枝であった。それが、ふたりの体とともに、ザーッとふかい樹間の空をおちていった。あッというまさえなく、すべては一しゅんのまに、思いきッた解決をとげた。
やがて、嵐弦の滝の深湍に、白い水のおどりあがったのが見えた。そして、しばらくは消えぬ泡沫の上へ、落葉樹の黄色い葉や楢の実がバラバラと降ってやまなかった。
二
山はまたもとの静寂にかえって、坩堝をでたような陽が、樹林の上の秋の自然をかがやき照らした。
ほどなくまた――そこへふたりの旅人が仲よく話しながらのぼってきた。ひとりは年配な女で、坂東三十三ヵ所を巡礼して歩くものらしく、ひとりは天蓋のついた笈を背負っている。
「山の道というものは、まようたらさいげんがない。もうこうなっては急がないことだ、そのうちにはだれか山家のものにゆきあうであろう。