Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
入り口のとびらの前に立ったのは中村係長です。
赤い道化師は、かんぜんに、ふくろのねずみとなりました。もうどんなことがあっても、逃げだすみこみはないのです。
中村係長は、ドアのとってに手をかけて、ひらこうとしましたが、どうしたわけか、びくとも動かないのです。公衆電話のドアに、かぎがかかるわけはありません。道化師が、せっぱつまって、ドアがひらかないような、さいくをしたのかもしれません。
「オイッ、ここをあけろ、きみはもう、逃げられっこないんだ。あけなければ、たたきやぶるばかりだぞ。」
係長がガラスの中へ、きこえるように、大きな声で、どなりました。
すると、道化師の顔が、フラフラッと、よろめくように、こちらへ、むきかわり、二つの黒い穴のような目が、ガラスごしに、じっと係長を見つめました。
「ウフフフ……、おれは逃げられるよ。逃げてみせるよ。たたきやぶってごらん。」
かすかな声が、ガラスの中から、聞こえてきました。道化師の口は、ろう仮面ですから、すこしも動きません。声だけが、もれてくるのです。
ふくろのねずみから、挑戦されたのでは、もうがまんができません。中村係長は、いきなり、体あたりで、ドアにぶっつかりました。