Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
二
早く駆けつけて下すった方が、皆んなそう申しております。――こんな念入りな放火は見たことがない――と」
「なるほど。念入りな放火だな」
平次は静かにくり返しました。
「誰が一体、こんな目に私を逢わせたのでしょう? 親分さん」
「怨みを受けるような覚えはないだろうか」
平次はそう言いながら、「お座なり」を言ってるような、極りの悪さを感じました。
「何とも申されませんが、私の口からは申上げ兼ねます」
「フーム」
「とにかく、私に怨みがあっての仕業なら、相手はさぞ堪能したことでございましょう。大きく構えても問屋筋の借りが相当ございます。そのうえ女房の怪我やら、小僧の葬いやら――」
明日の日がどうなる。三村屋安右衛門の顔には、絶望の色が濃い蔭を翳ります。
二
江戸の火事の恐ろしさは、明暦、天明の大火を引合いに出すまでもありません。
一度赤い風が吹くと、防火設備はあったにしても、マッチ箱を並べたような江戸の町家――無分別にも建込みすぎた木造家屋は、ほとんど無抵抗に、無防禦に、際限もなく燃えて行ったのです。
従って、過ち火、放火に対する、江戸の法律の苛酷さは想像以上でした。