Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
三
親分さん、お願い――」
千之助は手を合せました。恋を失い、家と財とを失い、自分自身をさえ失った男が、まず何を措いても、こんな目に逢わせた、敵に思い知らせてやろうという、思い断つことの出来ない深怨の恐ろしさを見て、平次も思わず身を顫わせました。
三
「お話を聴けばいかにもお気の毒。次第によっては、随分敵を討っても上げましょうが、前もってこれだけの事を約束しては貰えまいか」
平次の心には、この不幸な男に対する憐愍が、油のごとく浸む様子でした。
「私の望みを叶えて下されば、どんな事でも聴きます。親分さん」
「第一番に、お前さんを突き落した本人でない者は、少しぐらいの手落ちがあったにしても怨まないということ――」
「それは申すまでもございません」
「それから、突き落した当人、――お前さんの敵の名が解っても、勝手に成敗をしないということ――」
「…………」
これは千之助には我慢の出来ないことかもわかりません。
「お前さんは殺されたといっても、運よく生き還った。このうえ敵を討つ積りで、うっかり人などを害めると、今度はお上の厄介になる――悪者が捕まっても、その処刑はお上に任せることにしてはどうだろう」