Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.562 Zeichen · 291 Bildschirme
それももう六年前の出来事で、銭形平次も、徳五郎の失踪と余市の処刑を朧気に記憶しているだけの事でした。
「この化物騒ぎは三月ばかり前からですが、どうにもこうにも、お話になりません。屋根の上へ石が降ったり、女どもが雪隠へ行くと、箒で顔を撫で廻したり、髪の毛がサラサラと障子に触ったり――、毎晩怪談噺の仕掛のような事が起るのです。あんまり馬鹿馬鹿しいから気にも留めずにおりますが、家内が気に病んで、とうとう親分のお耳に入れたそうで――」
「…………」
平次の真面目な顔を、少し極り悪そうに見ながら、由兵衛が続けました。
「昨夜は親分の言い付けなすった通り、私ども夫婦だけ母屋へ寝て、離室の方を番頭の金蔵に任せておきました。すると、夜中に得体の知れない者が忍び込んで、年寄りの金蔵を、足腰の立たないほど殴って行ったんです。そんな荒っぽい化物は世の中にあるでしょうか、親分」
「化物の殴り込みというわけですね」
平次は苦笑しました。
「何しろ金蔵は、六十三という歳ですから、気だけは勝っていても、化物と組討ちをする柄じゃございません。縁側で眼を廻しているのを下女が見つけて、一応の手当てはしましたが、何を訊いても夢のようだと申します」