Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.562 Zeichen · 291 Bildschirme
八
御用聞きのガラッ八に、肩へ手を掛けられて、ヘタヘタと崩折れたのも無理はありません。お勢は勝気で通った娘ですが、さすがに、もうこの上ふみ堪える気力がなかったのです。
潮吹は、またも猛烈に踊りました。自分の身体を掻きむしるような、滅茶滅茶な潮吹踊りが、お勢がガラッ八に引立てられて行く後ろ姿を、恐ろしい不安で眺める人達にとって、何というそぐわないものだったでしょう。
八
「お前さんは誰だえ、どこへ俺を伴れて行くんだい」
潮吹の面を禿げた前額へ上げた市五郎は、黙って自分を導いて行く、お多福の面を冠った男を見詰めました。
「黙って来るがいい」
面の中に籠って、何という不気味な声でしょう。月はかなり高くなって、お茶の水の川がキラキラと光ります。
「お前さんは誰だい。今日は俺の邪魔ばかりしているようだが――」
「誰でもいい。ここはちょうどお春の死骸を投げ込んだところだ。ここでちょいとお前に話したいことがあるんだよ、まあ掛けるがいい」
お多福の面の男は、声の調子も変えずに、こう言って、崖の上の捨石の上に腰をおろしました。
「御免蒙るよ。俺は急ぐんだ、そんな人間に付き合っちゃいられない」