Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.562 Zeichen · 291 Bildschirme
それに、蔦が指を切ったのは、柳橋に居る頃で、もう十年も前のことです。三輪の親分にそう言っても、耳にも入れてくれません」
由兵衛は平次の言葉に勢いを得て、急にこんな事を言うのです。
「心配なさる事はありませんよ。お内儀さんはすぐ返されるでしょう。――が、他にこの家に、指のない人はありませんか」
平次はその辺に寄って来る番頭達を眺めました。
「私はこの通りですが――」
由兵衛は十本満足に揃った、自分の指を見せながら続けました。
「ね、金蔵どん、――三宅島へ流された与市は?」
「左様でございます。私もそれを申上げようと思っておりました。与市は先代の旦那様が行方知れずになった頃、瘡をやったとか言って、外科で指を切ったように思いますが」
「そんな事があったね」
と由兵衛。
「どの指でしょう?」
「右手の薬指でしたよ。――書き物に不自由はないが、箸を持つには困るとか言っていましたから」
「与市は左利きでしたか」
「そんなことはありませんよ」
金蔵の記憶はたしかでした。
「念のため、もう一度治郎助と竹に逢って、与市の様子を聴いて来ましょう。右手の薬指というと少し話が変って来る――旦那は番頭さん達と、御通夜をして待っていて下さい。