Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.562 Zeichen · 291 Bildschirme

Aozora Bunko

三

傷は左乳の上を、前方から一と突き、凄まじい血の様子では、すぐ刃物を引っこ抜いて、どこかへ隠したのでしょう。

「刃物は?」

平次はすぐそれに気がつきました。

「どこを捜してもない、――刃物がありゃ下手人は挙がったも同様さ」

三輪の万七も後ろから顔を出します。

「…………」

平次は黙って死骸を起し、顎で指図をして八五郎に後ろから抱かせました。かつては吉原で鳴らした太夫だけに、「死の手」も美しさを奪うことは出来なかったでしょう。心臓の一と突きに、全身の血を大方失って、蝋のように蒼白くなった顔は、何となく浄化された人間という感じです。

「下から突き上げた傷だ。――女の胸を下から突き上げるのは、子供か、一寸法師か――」

「犬だろうよ」

三輪の万七はニヤリニヤリと笑います。

三

このお咲殺しの一番不思議な点は、殺した刃物が紛失しているくせに、外から絶対に下手人の入った様子のないことでした。

下総から三月前に来たばかりという、下女のお金は、

「起きたのは寅刻半(五時)少し過ぎ。まだ薄暗い時分でしたが、雪はもう止んでいました。お竈の下を焚きつけておいて、門口の雪を掃きましたが、――いえ、雪はほんの一寸ばかり、掃かなくたってよいくらいでしたが、御近所の手前もあり、旦那がやかましいから箒目を入れておいたんです」