Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.562 Zeichen · 291 Bildschirme
徳三郎の心配に窶れた痛々しさも気の毒ですが、掴みどころのない恐怖には、十手も捕縄も役には立たなかったのです。
「そんなものでございましょうか。昨日も主人は両国橋で、往来の者に喧嘩を吹かけられ、危うく川へ投込まれるところだったと申しますし、四五日前には、朝の味噌汁の中に、見たこともない、恐ろしい虫が入っておりました。斑猫と申すんだそうで」
「それは念入りだな」
「いずれまた、思案に余った時は、御智恵を拝借に参ります。私がここへ来たことが知れると、悪者どもは、どんなひどい事をしないとも限りません。どうぞ御内聞に願います」
「それはもう番頭さん、誰にも漏らすような事はないよ」
「店を抜け出して来るのも容易じゃございません。今は何刻でございましょう」
「申刻(四時)少し廻ったばかりだ、なア八」
「そんなものでしょうよ、横町の師匠が銭湯へ行ったし、赤鉢巻の豆腐屋が通ったばかりだし、八つ手の葉へ陽が落ちたし」
八五郎の時計はまことに念入りです。
「それでは大急ぎで帰らなきゃなりません」
徳三郎はションボリ立ち上がりました。少し華奢な撫で肩、四十男の疲れは見えますが、大店を背負って立つだけに、なんとなく貫禄があって、あまり丈夫そうでない身体から、精力的なものが発散するといった人柄です。