Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
「親分さん、私は大旦那なんかを殺しゃしませんが――」
「それはそうだろうよ」
「どうしても昨夜の行先を言わなきゃなりませんか」
「言う方が無事だろうよ」
平次はひどく冷静です。
「弱ったなア」
幾松は小三郎ほど絶望的ではありませんが、困惑しきっていることは違いありません。
「磔刑柱を仲よく二人で背負う心算か」
「…………」
「隠したって隠しおおせるものじゃない。言う潮時に言ってしまわないと、後で後悔するよ」
「…………」
幾松も黙りこくってしまいました。こうなっては、手の付けようがありません。
平次はいい加減に諦めて、一とわたりお勝手の方を覗いてみました。土竈の蔭に恐れ入っているのは、三十を少し越したらしい女、ひどい痘痕で、眼も片方はどうかしている様子です。
「お前はお作というのだね」
「ヘエー」
「国はどこだ」
「上総でございます」
「ゆうべ何か変ったことがなかったか」
「ありましたよ、――いつもお店から来なさると、そのまま黙ってお床に入る大旦那様が昨夜はわざわざ私を呼び止めて、『お作、人の心というものは解らないものだな。俺はこの年になって、飼犬に手を噛まれるとは思わなかったよ』