Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
銭形平次捕物控
一
一
「ね、親分、こいつは珍しいでしょう」
ガラッ八の八五郎は、旋風のように飛込んで来ると、いきなり自分の鼻を撫で上げるのでした。
「珍しいとも、そんなキクラゲのような鼻は、江戸中にもたんとはねエ」
銭形平次は、縁側に寝そべったまま、その消えた煙管を頬に当てて、真珠色の早春の空を眺めながら、うつらうつらとしていたのです。
「あっしの鼻じゃありませんよ。ね、親分、三つになる子供が身投げをしたんですぜ。こいつが珍しくなかった日にゃ――」
「待ってくれ八、三つになる子供が身投げした日にゃ、五つくらいになると腹を切るぜ」
「親分、冗談じゃありませんよ。本銀町の藤屋の倅で、万吉という三つの子が、ゆうべ裏の井戸へ落ちて死んだんですよ。町内の噂を聴いて、今朝ちょいと覗いてみると、井戸側の高さは二尺くらい、子供の首ったけあるんだから、間違って落っこったとは言えませんよ」
「なるほどそいつは少し変だな。踏台でもなかったのか」
「踏台も梯子もないから不思議なんで」
「どこの世界に井戸側へ梯子をかけて身投げをする子供があるものか」
「だから変じゃありませんか、ね親分、ちょいと御神輿をあげて――」