Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
三
三
飯田町の川波勝弥の浪宅へ行ってみると、神楽坂から死骸を持込んだばかりのところで、町内五人組の老人たちと、勝弥の友達らしいのが二三人、何かと世話を焼いております。
家の中の調度も一と通り、裕福らしくはありませんが、そんなに困っている様子もなく、雇人は下男一人、婆やが一人。いずれも近在の者で、給料さえ満足に貰えば、何の不平なく勤めるといった肌合らしく見えるのでした。
「御免よ」
「あ、銭形の親分さん」
顔を知っているのが多いのは、平次のためには仕合せでした。相手は武家で、町方には苦手ですが、幸い文句を言う者もなく、心のままに調べは運びます。
川波勝弥は腕前も男っ振りも申し分はなく、少しばかり薄情なところも、若い女には一つの魅力だったかも知れません。傷は後ろからたった一と突きにやられたもので、一流の使い手の背後に忍び寄って、これだけの業をするのは、よっぽど胆の据った、腕のできるものでしょう。
川波勝弥は、見た人の話によると、右手を一刀の柄にかけ二三寸抜きかけたまま、こと切れていたそうです。
一と通り家の中も見せて貰いましたが、よっぽど学問が嫌いだったらしく、史書経書は言うまでもなく、庭訓往来一冊ないのはサバサバしております。