Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「焦れったいのは俺の方だよ、――最初からない小判が、盗まれっこないじゃないか」

「なんだとえ、親分」

争いは次第に真剣になって行くばかりです。両国名物のお秀、弱い稼業の女には違いありませんが意地も張りも、刃のように尖鋭になりきって、青侍や安岡っ引に負けている女ではなかったのです。

「何を騒ぐんだ、――大変な人立ちじゃないか」

ちょうどその争いの中へ、親分の銭形平次がブラリと入って来ました。

「親分、聞いて下さい、――口惜しいじゃありませんか。八五郎さんは可愛らしい娘だからって、怪しい人間を逃がしてしまって――」

「ま、待ってくれ。そうまくし立てられちゃ話がわからない。一体これはどうしたということだ」

平次はいきり立つお秀を押えて、とにもかくにも話の順序を立てさせました。

二

「なるほど、一応は尤もだが、八五郎にしては、それだけの事で人を縛るわけに行くまい」

平次はお秀を撫めながら、ようやく散って行く往来の人や、茶代を置いて、つまらなそうに出て行く店の客人を眺めやります。

「だって見す見す怪しい人間を逃がしてしまったじゃありませんか。この間から、いろいろ変なことばかり続くけれど、あの娘が一番執拗く奥を覗いたり、裏へ廻ったり、女どもに立入ったことを訊いたりするんです」