Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
「そんな事はありません」
ここまで訊いて、ガラッ八は小僧と別れました。お勝手口を入ろうとして、フト、井戸端へ今朝までなかった石をおいたのは誰か、それを定吉が知っていたような気がしました。が、もう一度井戸端へ引返したときは、どこへ行ったのか、小僧の姿はもうそこには見えなかったのです。
家の中へ入ると、重っ苦しい空気がさすがにガラッ八の心持を滅入らせました。
主人の万兵衛はそれでも葬式の指図を番頭に任せて、奥の一と間にガラッ八を案内してくれます。
「お気の毒ですね、旦那」
ガラッ八が言える悔みは、これが精いっぱいでした。
「察して下さいよ、八五郎親分。歳を取っての一人っ子で、眼へ入れても痛くないように思っていたのが――」
万兵衛はせぐり上げるように口をつぐみます。
「やっぱり過ちだったでしょうか、旦那」
「まさか、あんな子供を、井戸の中へ抛り込むような非道な人間はいないだろう」
「一応そうお思いになるのも尤もですが、いろいろ腑に落ちないことがありますよ」
万兵衛は深く暗い緘黙に陥ちます。
「ところで坊っちゃんを邪魔にするようなものはなかったでしょうね」
とガラッ八。