Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

「そりゃ私さ、私はあの子と一番仲がよかったんだもの。――日が暮れてから、何べん外へ出てみたか知れない」

と一番先に名乗ったのはお留でした。お留の夫の喜八は心配するだけ。主人の万兵衛夫婦は、翌る日の葬式の仕度に忙しく、お島と金次郎は、お留の後で、一二度外へ出てみたというだけ。ガラッ八にはこれが何の手掛りになるやら一向判りません。

そのうちに江戸中へドッと春が来ました。諸方の桜が咲いて、花見の連中が、あっちへこっちへと賑やかに繰り出します。

子供と小僧が死んで、三十五日が済んだばかりですが、闊達な主人の万兵衛は、自分のせいで家族や奉公人たちまで滅入り込ませるのは気の毒と思ったか、今年は一つ出入りの者を皆んな呼んで、存分に賑やかな花見をしようと言い出したのです。

その仕度が大変な騒ぎでしたが、とにもかくにも、三艘の花見船が両国から漕ぎ出したのは、よく晴れた三月のある日、白い眼で見られながらも、ガラッ八の八五郎は、万兵衛に頼んで親船に乗ることになりました。

人数は芸妓末社を加えて四十人あまり、そのうちの半分は万兵衛とその家族たちの乗っている、屋形船に詰め込んだのですから、その賑やかさというものはありません。