Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
銭形平次捕物控
一
一
「親分、飯田町の上総屋が死んだそうですね」
ガラッ八の八五郎は、またニュースを一つ嗅ぎ出して来ました。江戸の町々がすっかり青葉に綴られて、時鳥と初鰹が江戸っ子の詩情と味覚をそそる頃のことです。
「上総屋が死んだところで俺の知ったことじゃないよ」
銭形平次は丹精甲斐もない朝顔の苗を鉢に上げて、八五郎の話には身が入りそうもありません。
「ところが、聞き捨てにならないことがあるんですよ、親分」
「上総屋の死に様が怪しいとでも言うのか」
「二年も前から癰を患っていたっていうから、人手にかかって死んだとすれば、町内の外科が下手人みたいなもので――」
「落し話を聴いちゃいない、――何が聞き捨てにならないんだ」
平次はようやく朝顔から注意を外らせました。
「金ですよ、親分。上総屋音次郎が、鬼と言われながら、一代にどれほどの金を拵えたと思います?」
ガラッ八はなかなかの話術家です。平次が滅多な事件に手を染めないのを知って、こう乗出さずにはいられないように持ちかけるのでした。
「五六万両かな、――有るようでないのは何とかだと言うから、せいぜい三万両ぐらいのところかな」
「そう思うでしょう。