Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

「お前の知ってるだけの事を話してくれ」

平次はこの賢くないらしい娘からは、あまり大したことは期待しませんでした。二十三にもなるでしょう。丸ぽちゃの可愛らしい娘ですが、笑っても、物を言っても、無智な愛嬌がこぼれそうで、これも付き合いきれないところがあります。

金があるかないかはもとより知らず、この家に来てから五年になるが「ろくなお小遣も貰わなかった」と少し怨ずる色があります。

番頭の仙之助は二三日前に平次が逢ったばかり、ひどく興奮しておりますが、言うことはハキハキして、何を措いても死んだ主人の隠した何万両の大金を、一番先に手に入れることに骨を折っている様子です。

「親分さん、お願いでございます。金が出て来なかった日には、この家は立って行きません」

半ば絶望しながらも、平次の叡智に縋り付こうとしているのが、痛々しいほどよく解ります。

「お前は、お染さんと何か約束でもあるのかい」

平次は思いも寄らぬことをズバリと言いました。

「とんでもない、親分」

愕然として挙げた仙之助の顔は、まだ去りもやらず、その場の様子を見ているお今の顔とハタと逢ったのです。

「たいそう肩を入れるようだが」