Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
「お美乃さんじゃないか」
平次は不思議な空気の圧迫を感じながら板の間に踞みました。南の奉行所を追われたお美乃は、最後の頼みの銭形平次を訪ねて、お勝手口から肩身狭く入ったのでしょう。
「親分さん、――小三郎さんを助けてやって下さい。お願い――」
半分は嗚咽に呑まれながら、お美乃は辛くも心持だけを言って、子供のように泣くのです。
「そいつは無理だ。今しがた俺が言ったことを、ここで聴いていたんだろうが、親殺しや主殺しは、御奉行様でも助けようはない。そればかりは諦めた方がいいぜ」
「違います、親分さん。小三郎さんは、決して、父さんを殺しはしません、――下手人は外にあるんです」
「お美乃さんがそう思うのは無理もないが、小三郎が縛られるには、縛られるだけのわけがあったんだ。――証拠は山ほどある上に、あの日島吉兄哥が隠居所へ引返して行くと小三郎は一と足違いで逃げ出したというじゃないか。幸い翌る日捕まったからいいようなものの、そうでもなきゃ、島吉兄哥はとんだ縮尻をするところさ」
平次は諄々として説き聞かせました。が、お美乃は涙にひたりながらも、頑固に頭を振って、平次の言葉を享け容れようともしません。