Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

「これだ、八」

指さしたのは、鋏で紙を切取った跡が二ヶ所。

「そいつは何です、親分」

八五郎はその意味が呑込めません。

「この近くに上総屋の寮か、隠居所がないか訊いてくれ」

「ヘエ」

八五郎は飛んで行きましたが、奉公人たち二三人に逢って引返すと、

「寮も隠居所もないが、神楽坂裏に久しく空いている貸家が一軒あるそうですよ」

こんな事を聴込んで来ました。

「よし、そこへ行こう。小僧を一人借りて来い」

小僧の直吉を先に立てて、平次と八五郎はさっそく神楽坂に向いました。

「ここですよ、親分」

直吉が示したのは町裏の藪の中に置き忘れたような空家が一軒。裏へ廻ると、雨戸は一枚外したまま。そこからいきなり飛込んだ八五郎は、

「あッ、大変ッ」

四方構わず声を張り上げます。

「音松が殺されているんだろう。押入か床下へ首を突っ込んで」

平次は静かに外から応じました。

「どうしてそれを?」

「懐の中には、古帳面から切抜いた紙に、右肩下がりの字で、――神楽坂の貸家――とか何とか書いたのが入っているはずさ」

平次の言葉は恐ろしいほど的中しました。

音松は空家の奥の六畳の押入に首を突っ込み、床板を剥がしたまま背中から匕首を突き立てられてこと切れていたのです。