Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうですよ、菱屋は欠所。江戸構えになった母娘が二人、草加とか千住とかにいると聞きましたが――」

ガラッ八なかなかよく届きます。

「菱屋の主人はまだ島にいるのか」

「主人の市兵衛も番頭の清七も六十を越した年寄りで、三宅島へ流されると半歳経たないうちに死んだそうですよ」

「それっきりか」

「聞き込みはこれだけですが、山の宿まで行ってみましょう」

ガラッ八はもう案内顔に先に飛び出しました。つづく平次。

快適な秋の朝風に吹かれながら、神田から山の宿まで、ちょっと出のある道程です。

「三千両近い身上を捨てて、行方知れずになるのは変じゃありませんか、ね親分」

道々、ガラッ八は平次の智恵の小出しをせびりました。

「思い立って旅にでも出かけるということはあるだろうな」

平次は少しからかい面です。

「麻裏を履いて手拭を持って西国巡礼ですか、親分」

「抜け詣りには、時々そんなのもあるよ」

「金を溜めるより外に望みのなかった男ですぜ、親分。その晩もお菜に塩っ辛い鮭をつけると、――こんなお菜は飯が要ってかなわない――って、下女のお留に大小言を食わせたんですって。塩の辛い鮭が贅沢な人間が、三千両の身代を放り出して、旅へ出るものでしょうか」